法務デューデリジェンス(法務DD)
法務デューデリジェンスでは、買収対象企業の法務に関するリスク調査を⾏います。契約書のレビュー、登記書類の確認、株主の履歴確認などを⾏いますが、ある程度の規模となると弁護⼠事務所に依頼するケースもあります。
法務DDで契約の内容を調査することで、会社がどのような権利(債権)を持っていて、どのような義務(債務)を負っているかを把握します。
契約書の種類としては、取引先との売買契約書、業務委託契約、賃貸借契約、ライセンス契約などがあります。契約書の内容に取引上不利な条項があるのか、ライセンス契約の期限や解約する権利がどうなっているのなどを確認します。
資産に関する契約としては、不動産契約、⾦融資産に関する契約などを調査します。各種法律を順守しているか、許認可に関する契約、労使関係の契約の確認する必要があります。労使契約については、従業員との紛争の有無などもチェックが必要となります。訴訟に関しては、係争中の案件があれば、⼤きなリスクになる可能性がありますので、注意が必要となります。株主間契約について、何か制限事項がないかを事前にチェックする必要があります。
法務デューデリジェンスの資料リストの例
⼤分類 | 中分類 | 資料名 |
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会社の状況に関する資料 | 会社組織・会社規定 | 会社概要 |
履歴事項全部証明書 | ||
定款 | ||
取締役会規則、監査役規則、その他経営会議等重要会議の規則 | ||
組織図 | ||
組織規程、権限分掌規程、決裁権限規定/稟議規程、職務権限⼀覧などの、各部署の担当、役員や主な従業員の権限などが分かる規程 | ||
議事録等 | 株主総会議事録 | |
取締役会議事録 | ||
経営会議等重要会議の議事録) | ||
監査・内部監査 | 監査役会議事録(監査役決定書) | |
内部監査計画及び結果が分かる資料 | ||
監査役監査計画及び結果が分かる資料(監査役監査報告書含む) | ||
出資関係 | 株主間契約 | |
既存の投資契約 | ||
出資受け⼊れに関して何らかの制限を課す条項を含む契約 | ||
許認可その他 | 当局 | 業務遂⾏及び業務遂⾏の過程において遵守する必要のある法令の⼀覧表及び許認可の状況 |
許認可・届出等があれば当該資料 | ||
監督官庁から受領した通知、指導、勧告、処分等その他の資料 | ||
契約書類 | 主要な契約 | 上位5社との取引契約 |
その他の重要契約 | ||
訴訟・紛争、コンプライアンス | 訴訟・紛争 | 会社が当事者である訴訟、仲裁その他⼀切の紛争の詳細 |
会社が提起する予定である⼜は会社に対し提起されるおそれのある訴訟、仲裁、その他⼀切の紛争の詳細 | ||
コンプライアンス | コンプライアンス部⾨による指摘事項 | |
内部監査や外部監査等における報告・指摘事項 | ||
知的財産権 | 知的財産権 | 会社が第三者の知的財産権を侵害している旨の第三者からのクレーム |
会社が保有する知的財産権を第三者が侵害している場合には、その侵害の内容及び会社の対応 | ||
従業員 | 全般 | 就業規則 |
36協定 | ||
労働基準監督署その他労働関係の監督官庁から受領した通知、指導、勧告、処分等その他の資料 | ||
労使交渉・労使紛争の有無及び概要 | ||
賃⾦、労災、解雇その他の労働条件に関するクレーム及び訴訟についての資料(提起の恐れがあり、係争中であり、⼜は終結した訴訟の記録を含む。) | ||
時間外勤務の実情及び管理⽅法が確認出来る資料 | ||
その他 | 全般 | 上記項⽬以外に、貴社の事業、業務、資産、取引等に関連して、貴社として開⽰する必要があると判断する書類や情報 |